2012 Concerts, Koncerts
◆篠笛曲 「星状六花」 前半 作曲・演奏 原 彰宏
'Hoshijo-rokka' (bamboo flute) composed and performed by Akihiro Hara
*音が小さければ、イヤホンでお聞きください。
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◆2012/10/13, 14
星状六花コンサート*響きあう*篠笛*短歌*tankaたち*
Hoshijo-rokka Concert: Snow Crystal Star-shaped: Reverberation of Bamboo Flutes and Tanka Poetry
1日目:2012/10/13 中谷宇吉郎 雪の科学館
at Nakaya Ukichiro Museum of Snow and Ice

開演前

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会場への通路



プログラム

◆篠笛独奏 「星状六花」 作曲・演奏:原 彰宏
◆朗読1:「あなたはどこに―福島」(日本語・英語) アメリア・フィールデン、紺野万里
Reading 1: “Where are you? – Fukushima” (Japanese – English)

The Tanka Chains: Where are you? 歌鎖「あなたはどこに」①
Amelia Fielden ←→ Konno Mari
a robot voice
is all I can get now
from your phone ...
where are you, where are you
under concrete, under water? - Amelia
留守電の応答音のみ…いまどこにあなたはどこに わたつみの底? アメリア
水の壁すべてを襲ひ奪ひたり子を抱く母も抱かれし子も 万里
water, a great wall
attacks, washing away
everything
even a mother, then
from her arms, the baby - Mari
baby cries
adult screams --- almost
inaudible
against the raging
of a tsunami - Amelia
みどり児の泣くこゑ大人の叫ぶ声…かき消されゆく荒るる津波に アメリア
「津波」とふ日本の言葉そのままに世界に通ずることぞ哀しき 万里 ‘tsunami’
a Japanese word
has become
an international term,
to my everlasting grief - Mari
以下、略
The rest is omitted.
◆パフォーマンス「シャドーブルック 冬」(エドバルト ビルサ) ランダ・メドネ、 紺野万里
(ラトビア語の詩を日本語の短歌に)
Performance: “Shadowbrook, Winter” by Edvarts Virsa.
(Latvian – Japanese tanka form)
篠笛演奏:ラトビア民謡 “Pie Dievina gari galdi”

◆ 朗読2 日本語・英語・ラトビア語

みどり児のあしたの夢に降りをらむ星状六花この世のひかり
midorigo no / ashita no yume ni / furioram / hoshijo-rokka / konoyo no hikari
into the morning dream
of my newborn babe
might be falling
snow crystals, star-shaped,
the light of this world
jaundzimušais
snauž sniegpilnā rītā
viņa sapnī
vizošas drumstalas krīt
zvaigžņveida sniega kristāli
他の作品に関しては、「2012朗読作品」のページをご覧下さい。
Please see the page 「2012 readings」 for others.
◆篠笛二重奏 「星状六花-2」 原 彰宏、 原 恵子

◆アンコール「荒城の月」。霧の彫刻の中で。コオロギも「共演」。
(霧の彫刻: 現代美術家 中谷芙二子作)

下の「I I GAINE 片山津」にも、このコンサートの記事があります。
http://blog.livedoor.jp/katayamazu/archives/51911112.html
◆レセプション

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◆ 2日目: 2012/10/14
NPO法人「I Love 加賀ネット」の記事を転載させいただきます。
(記事および写真の掲載許可をいただいています)
◆名勝養浩園(福井市)で宇吉郎を詠む =二日目=
~歌人 紺野万里さんの『星状六花ほしじょうろっか』から広がる芸術空間~
【2012/10/15掲載】
その4
『星状六花』二日目は、会場を移して福井市中心地の〝養浩園〟で行わ
れました。周辺には福井県国際交流会館やNHK福井放送局があ
り、JR福井駅からも近いところにあるとても閑静な場所です。
80人の方々が入場されました。
*養浩館…江戸時代、「御泉水屋敷」と呼ばれ福井藩松平家別邸であった「養
浩館」は数寄屋造りの建物と大きな池を中心とした回遊式林泉庭
園で構成されています。(福井市のホームページ養浩館沿革より)
【写真】出版本の表紙になったタベストリ-


養浩園

開演前、紺野さんの挨拶
その5
会場の〝養浩園〟は福井市の中心地にもありとても閑静な処。
来場の皆さまも、朗読や演奏に物音ひとつ立てず静かに聞かれ、
カメラのシャッターや、フラッシュも控え目にするほどでした。
篠笛の音が高くなった時には、池の鯉の動きも瞬時に動き出し、
水音が〝バシャバシャ〟・・・と聞こえました(昨夜の雪の科学館
でも〝コオロギ〟たちが一斉に鳴き声を大きくし音にとても敏感
です)。
【写真】朗読の紺野さん、アメリアさん、ランダさん。

篠笛の原さん夫妻

池の鯉が、一斉に音のする方へ移動

その6
養浩園では〝月見〟や〝茶会〟などが開催され、福井市民の憩いの場となっています。
【写真】
大きな池を中心に回遊式林泉庭園

上)・・・御座の間に続く飛石
下)・・・「御次ノ間」の縁

【写真/いずれも I Love加賀ネット撮影】
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◆ エッセイ 「日刊福井」掲載
◆笛の音に応えて 紺野万里
笛の音に鳥や虫が反応する、と聞いたことがあります。音にあわせて鳥が歌ったり、動物が寄ってきたりするというのです。不思議だなと思っていたのですが、実際に経験して驚きました。
昨年の十月、「星状六花コンサート*響きあう*篠笛*短歌*tankaたち」という、三カ国語での短歌朗読と篠笛演奏のコンサートを開催したときのことです。わたしは司会と日本語朗読を担当していました。場所は養浩館庭園。気持ちのいい夜で、窓はすべて開けてありました。
プロの演奏家による篠笛の二重奏が始まると、池の鯉がざわざわと動きはじめ、こちら側の水際へと集まってきたのです。大きな群ができて、水面を跳ねる鯉もいます。水音とただならぬ気配の鯉の動きに、客席がどよめきました。
実は、前日にも同じコンサートを石川県の「中谷宇吉郎雪の科学館」で開いていて、そこでも同様のことがありました。柴山潟沿いの中庭で、アンコールの篠笛二重奏「荒城の月」が始まると、おびただしい数のコオロギがあちこちから一斉に鳴き始めたのです。
福井の会場で見ていたところでは、鯉がつよく反応したのは、一笨(いっぽん)調子という低い音を出す篠笛の、ある音域が鳴ったときのように思われました。
篠笛というのはシンプルな楽器で、簡単にいえば、竹に穴をあけただけのものなので、きっと自然界の音に近く、それが生き物のもつ何かと共鳴するのではないだろうか、などと楽しく空想にふけったことでした。(ただし、よい音でないとだめなようです。河原で吹いてみたのですが、私のような初心者の音では何も起こりませんでした。)
今年の九月に、ラトビア共和国の「詩の日々祭」でも、このコンサートを行う予定です。公演は場所を変えて五回。どこかの会場で、ヨーロッパの生き物が日本の竹笛の音に反応してくれるでしょうか。現地の主催者の方も、それを楽しみにしてくださっているようです。
日刊県民福井(2013/02/20)「悠々漫筆」掲載
中谷宇吉郎雪の科学館友の会会報「六花」第39号(2013年5月)に新聞社の了解を得て転載
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◆資料
星状六花コンサート 二〇一二年十月十三日 中谷宇吉郎雪の科学館
十四日 養浩館庭園
朗読予定作品より (日本語のみ。変更があるかもしれません)
◆朗読② 『トリリンガル短歌*星状六花』より (日・英・ラトビア語)
夜ふかく土の面に届くものしづまりて雪は光となりぬ 22
ふと消ゆるもの抱くやうにをののきて生まれたる子を抱きし朝あり 23
他の何にでもなるifをもちながらこの腕にゐる人の子として 24
みどり児のあしたの夢に降りをらむ星状六花この世のひかり 25
祖父のトンビにゆらりゆらり雪いまよりながい一秒だつた 26
びろうどに落ちてしづもる雪のひら天眼鏡が息でくもつて 27
ぼたん雪はジャングルジムの形してレンズの下にしまらくはゐる 28
中谷宇吉郎 雪の科学館 加賀市
馬たちが橇を外され眠る真夜 マッチの軸の上なる雪華 29
鼓型・樹枝状六花・角版と読み解かれゆく天からの手紙 30
結晶の写真は乾板三千枚 かをれる闇に六花を秘めて 31
夜のしづか雪のしづかの底にゐて訪ひたきものはわが裡にあり 32
手のひらに受ける化石のしづもりよユラ紀の未来といふを預かる 33
「終月八日」より
角を曲がるとなにか遠くに明るくてああ白山に雪がきてゐる 103
「イマジン」流れし終月八日夜もんじゆ内部に積もりたる雪 104
清らなる力を得たり 遠きとほき未来を贄に捧げて得たり 108
二万年先に生まれるはずの子等そのこゑを消し今宵を灯す 109
冬の虹そのまつたきが湾を抱き原発を抱きしばしを去らず 110
朽ちてゆくものの華やぎ紅葉はしづかに原発建屋を囲む 111
朽ちること叶はぬものがあをあをと億の時間をプールに揺るる 112
濃きあはき核のごみ溜めこの国は裡ふかくから被爆してゆく 113
『過飽和・あを』より
月の手がしづかにとどき水底の阿修羅の目蓋そつと閉ざせり 134
われといふ六十兆個おのおのが水に封じる超微細都市 143
手渡され姿をかへて今ここにわたくしといふ始原の欠片 144
垂直に四十億年 水平に八千万首 交点に佇つ 145
まだ魚の時間に揺れていた吾子と海抱くわれに雪やはらかく 148
大けやきほのほのと新芽まとひたるこんな日は友よ死んではいけない 151
あをあをと光を運ぶ春の雪 青馬ひとつ画より逃げゆく 152
わたくしが死ぬまで運ぶ卵たちよすこし光がとどいてゐますか 153
Straumēni. Ziema: Shadowbrook. Winter by Edvarts Virza (1883-1940)
「シャドーブルック・冬」(エドバルト・ビルザ・ラトビア)より(部分)
パフォーマンスと朗読 by Randa Medne
日本語訳(短歌形式)と朗読 translated and read by Konno Mari
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以上、Concert 2012